財政改革の衝撃    水谷研治

On 2011年2月23日, in 書評, by admin

財政改革の衝撃 ―待つも地獄、進むも地獄の日本経済

私の著者に対する信頼度は高い。その理由は$250円時代の為替の研究によるところが大きい。その後バブル崩壊後“赤字国債増発による公共事業投資は極めて乗数は低いが止めると底が抜ける”などといったコメントも印象的であった。

そんな信頼感の高い著者は早急に財政改革をしなければ“財政破綻”をすると本書は論じている。2/22ムーディズは日本国債をネガティブと位置づけた。その理由はS&Pと変わらない。政治の問題である。借金体質のままで良いはずはない。早急にプライマリーバランスを改善しなければならない。著者自身が橋本総理、小渕総理、森総理、小泉総理の直接説明をされているとのことである。やらなければならないことは承知している。やらない理由は単純である。選挙に負けるからだ。問題の先延ばしは坂道を転げ落ちるかのごとく状況を悪化させている。

以前他の機会に消費税を上げても“財政改善は困難”となったときが恐いと書いた。著者によればプライマリーバランスPlusαの消費税は25%とのことである。しかしこれは本年度予算の場合なのだ。今後社会保障費の負担が増加することを考えると25%では困難なことは明らかだ。それも加速的、速やかに行わなければならない。昨今経団連会長・米倉氏が国会議員は“給与泥棒”などという過激な発言があった。しかし現状を見ればあながち誤りとは言えない。著者は“国民は相当な打撃を受ける”それでもやらなければならない。“敗戦後立ち直ったのだから大丈夫だ”とまで述べている。消費税25%は国債増発を防ぐレベル。社会保障費を賄うには50%にでもなるのだろうか。それが現実なのだろう。

民主党は「無駄遣いを減らす」「税金の使い道を明らかにする」などのマニュフェストで
政権を取った。その予算が“40兆円の税収不足”である。政党が問題なので無い。いまの税、社会保障費、公共事業、教育を含めた制度の問題なのである。代議士が俯瞰して考察するには“選挙”が多すぎる。某新聞社社長がささやく気持ちも理解できる。

 著者の声が政治家に届いてないとは考えづらい。とりいそぎビジョンが見たい。

 

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