定時制高校経論であった著者が深夜パトロールをしながら出会ったことを綴った一冊。家族環境の多様性や両親の所得と教育環境など周辺環境が子供に与える影響は大きい。2/18日経には両親の所得が下がったことにより進学を断念する割合が上昇していると調査結果が発表されていた。
進学、就職という従来からの流れが難しいことを日々メディアは報じている。それでは進学をしない50%は果たしてどうなっていくのか。以前であれば「手に職」という道もあった。手に職、独立という流れである。例えばFCを含む大型飲食店との競争に勝つことは決してやさしくない。建設関係は一般に機械化により技術を得るまでの期間が短縮され匠という一線からは程遠い。公共事業関係費は98年の14兆 9千億から 10年は 5兆 7千億へと減少している。38%のマーケット縮小は労働者数をどれだけ減少させるのか計り知れない。
こうした著者のようなかたの努力により心の問題が解決されたとき、雇用の場が必要であることは言うまでもない。そうでなければ負の連鎖が加速すると思う。アチーブメント・青木先生は“人はいつからでもやり直せる”という。そのときに最も需要なことは“心からかなえたい目標を見出す”ことではないだろうか。対象者はどちらかと言うと、自分に優しく努力によって何かを成し得た経験が少ない人物が多い。持続的に努力をするにはビジュアル化された目標を持つ必要がある。それも自分で発見して。
本書を通じて思うことは、将来を見据えた目標を見つけること。達成を詰みかね自信を持たせること。この2つができた時に状況が変わるのではないだろうか。この間周囲は暖かく見守るだけでなくハグするような気持ちが必要だろう。それが“いいんだよ”の意図ではないだろうか。