デフレの正体 後編

On 2011年1月21日, in 書評, 雑感, by admin

過日本書を通じて経済縮小の要因が「生産人工の減少」であることを述べた。問題はもうひとつある。政治への影響である。政治が生活に影響力する人ほど投票率は高くなる。年金受給者の方、近い年代の方ほど投票率は高くなる。そうでない人は生活に政治が強い影響を示さないことから投票率が下がる。政治家は苦痛を伴う10年先のシナリオを示すことはできない。実際“直接分配の民主”or“関節分配の自民”という構図になる。人口構造の問題は現在のGDPだけでなく民主主義も崩壊させると考えている。

本書教示の一節にこんな文章がある。

日本経済の現場にはもっと俗っぽい現実があります。
生産年齢人口=消費人口の減少 → 供給能力過剰 → 在庫積み上がり+価格競争激化 →在庫時価低下

店舗、WEBなど実感する機会は多い。ブルーレィ5万割れは目前である。しかし工場は「銭単位」で原価を下げ在庫を減らしている。裏を返せば就職率のダウンと賃金減少の要因である。まさに負のスパイラルだ。

こうして明らかになっている現状に対しなぜ解決シナリオを示せないのだろうか。批判的意見も多いがシナリオを示し実行したのは“小泉内閣”だけだったように思う。しいて言えば手法は違うが小渕内閣も示したように感じる。この場で政治について述べたいわけではない。しかしこれだけダイナミズムな問題は政治以外に方法はない。強いリーダーシップで“国民をその気にさせる”。まず安心と希望を持たせる。そのうえで一心不乱に行動する。こんなことが必要なのではないか。

消費税増税でソブリンリスクが回避できるかのうように語る評論家がいる。消費税が30%以上となれば可能かもしれない。そのトレードオフとして消費ダウンという減少がおきる。少し現実的ではないがWEBで交換やオークションが流行れば現行法では非課税である。さらにWEBで輸入する方法もある。グルーピングで輸入すれば相当安くなる。また低所得者は税還付という話もあるようだが ① 国民番号性 ② システム ③ モラルハザードなどの問題もあり非現実的である。

まずは“経済財政諮問会議”に相当するような組織必要である。そこには“国家の知恵袋”とも言えるシンクタンクの存在が重要である。シナリオを判断と決断する勇気をもつ数人の政治家以外は不要なのだ。声が大きく存在感を示すだけの政治家は過去の遺物ともいえる。

処方箋とも言えないが、企業であれば強い経営者とシンクタンクの存在は経営を好転させる可能性は高い。この枠組が改革の第一歩ではないだろうか

 

One Response to デフレの正体 後編

  1. 菅原晃 より:

     近来まれに見る「トンでも本」ですが、角川書店を通じて、日本のGDPアップに貢献しているので、それはそれでよいかなと。

     このような「トンでも本」がないと、「確かな本」の正しさが認識されないと言う面もあるので。

     ただ、『誤った知識』を身につける読者が20万人も増えたのは、問題かも知れませんね。

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