日本型プロフェッショナルの条件 安永雄彦
<アメリカ型論理思考では問題は解決できない>
日本型プロフェッショナルの条件―アメリカ的論理思考では問題は解決できない
今夜著者にお会いすることができる。月例で行われている、著者を交えた20人程の読書会が行われており、本日の主題は本書なのだ。読書会のコンセプトは音楽であれば【live】ということである。知識リーダーシップ研究所のコンセプト創りの素晴らしさに舌を巻く。
さて著者は銀行員の後、エグゼィティブ・サーチ企業を創業。現在は大学院教授、僧侶を務めるなど多彩な人物である。本書からもその英知を伺い知ることができる。キャリアやプロフェッショナル的問題解決思考について述べている。
私自身【生きること】【成長すること】が如何に難しいかを日々感じる。こうした思いを著者自身は次のように語っている。
『いざ本を書いてみると、自分が主張し教えていることを、いかに十分実践できていないかを改めて実感しました。『わかること』から実践や徹底までの道のりはやはり遠いのです。謙虚を謳い、克己を説いてきた尊敬すべき世の先達も、持論を書にして、他者に説くことで、自らを戒めていたのかもしれません。毎日が『一日一生』。自分が生かされていることの幸せを思い、ありがたく感謝する日々であります。自分の成長への終わりのない営みはまだまだ続けていかなくてはなりません』
本書への思いがここに表れている。“謙虚な心”が人を成長させるのだと思う。知を深める、拡げることで自らの無知を知ることと同じではないだろうか。尊敬する方ほど謙虚に日々進化している。型は重要であることは言うまでもない。【守 破 離】を心がけ愚直に邁進し高みに達するには著者のような心構えがあって初めて成し遂げることを可能にする。
この繰り返しがプロフェッショナルな人材を創り上げるのではないだろうか。
著者はプロフェッショナルについて次のように述べている。
『一流とは何かの道に熟達することだと述べましたがそのためには、比較優位の世界から離れて、自分の信じる道を進んでいくことが不可欠です。….自我とは意識の中心のことで、自己とは意識と無意識を統合した全体の中心を意味します。個人の中に内在される可能性を実現し、個人の自我を高次の全体性へと向かっていく過程が、個性化の過程、自己実現の過程であり、人生の究極の目的だとユングは考えたのです。』
個性化の過程により充実感を得る。このプロセスが一流の人材へと近づけるというのが著者の主張である。俗世間的には“過程”を貫くことができずに終えるケースが多いように感じている。時に自己承認で終えているようなケースを見ることがある。やはり自己実現を評価するときに何か定量的な評価が欲しいものだと思う。
壁にぶつかったときにお進めの一冊である。