伝える力  池上 彰

On 2010年10月21日, in 書評, by admin

伝える力 (PHPビジネス新書)

伝える力  池上 彰

内容は簡易に読みやいが、奥行きは深い。本書は社会のさまざまな場面で求められる『伝える力』をどのように養い実行するかについて述べられた一冊である。自分の思いや考えを相手に伝えるのは難しい。またこれができれば解決できる問題も多いだろう。
本書を通じて思い知ったひとつが『どれだけ自分が単語を理解しているか』ということである。日銀の事例は的を射た説明である。日頃、電子辞書を片手に本や論文を読むのだが、筆者の意図がぼやけたときはこうしたことが起こりやすい。たとえば【有機体】を広辞苑では「①生活機能を持つように組織された体系②多くの部分が一つに組織されその部分が一定の目的の下に統一され部分と全体とが必然的関係を有するもの」の2つの意味で説明する。こうしたことばの解釈は常にしっかりとしておかなければならない。まず自分が360℃理解すること。そのうえで相手の目線で対話をすることである。

 昨日まで『創造性』について述べていたが、創造性を含んだ単語を使う時の留意点が記されているので取り上げて見る。

『便利な言葉を使っていると、使う人が思考停止になってしまう恐れがあることを知っておきましょう。
「~的」「~性」という言葉の多く、あるいはいくつかはこうした性格を持っています。「創造性」「必要性」「生産性」「機能的」「絶対的」「政治的」など、日常よく使う言葉も、もう一歩踏み込んで考えてみるといったい何を意味しているのか、曖昧な場合が少なくありません』

 良く使う言葉が多数含まれている。上手く表現できないからこうした言葉使うことで思考停止をごまかしているように思える。相互が形容詞で話している会話を良く耳にするがそれとあまり変わりはないのだろう。本書では「カタカナ」表記もこれに準じていると述べている。確かに意図が伝わりやすいと感じないこともないが、その場合も一語一意を把握しなければならない。

自らの理解が曖昧であれば、相手に伝わるわけはない。私がそもそもブログを書き始めた第一の意図は【国語力のUP】であった。原稿用紙4枚を基準に自らの意見をまとめる。これを繰り返すことで人としての基礎力を身につけたいとの思いだったのである。情けないことに果実を得られていない。また論文執筆でご指導頂いた教授には【一文一義】を徹底して言われた。伝える力の一端に【国語力】があるのだと思う。ビジネス基礎力である、読取りと表現の力を今後も高めて行きたいと思う。
また【聞く力】が重要であることは言うまでもない。“対話が可能な知識”身につけ相手の意図を引きだす。また上手く伝えきれないことを【言葉を創る】ことで相互の理解を深める。また逆も真なりであろう。対話をすることで自らの考えを引きだして頂くことは良くある。こうしたことからもビジネス力に影響を持つ【伝える力】を身につける必要があると考える。

 

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