研究計画デザイン   細川英雄

研究計画書デザイン―大学院入試から修士論文完成まで

研究計画書をどのように書くべきか。その問題を解決するために本書を読んだ。研究計画は論文を書くためのものだが、企画のコンセプトや原案を創る時など応用可能なものだと思っている。仕事の実践は問題解決を目的とすることが多い。言葉を変えると日常の関心事が問題意識に結びついていく。しかし研究計画書にまとめる作業は難しい。

著者は2つのことがネックになっていると述べている。“ひとつはいろいろなことに関心があり、それを研究というかたちでまとめられない場合…。関心はあるけれど形にできない”もうひとつは“問題はすでにいくつかに絞られている。しかしそのなかで何が本当にひつようなのかが明確でない。したがってこれという目標が特定できないようなケースです。これを問題意識から問題的への方法論の欠如と考えます”

 起業後3年で50%の会社は無くなってしまう。生き残る企業とそうでない会社はどこが違うのか。私はその問題意識を“組織”に絞り考えてきた。それはアーリーステージでの有効性が高いこと、汎用的なこと、資本との距離をおけることなど実践を意識してのことだ。 組織論を組織文化や組織進化論などに掘り下げていく。どのような理論的枠組に絞り込むか。これも絞込みのひとつとなる。何を選択するかの知識。更には、経営戦略など周辺知識も必要である。

並行し「仮説 → インターアクション → 結論」が求められる。このプロセスをなんども繰り返し深化させていく。研究計画はこうしてできあがり、論文執筆に取組むこととなる。

このような取組みは仕事を俯瞰して見ざるをえない。鳥の目で会社を見ればベクトルの向きや日々の実践に追われ3年後の姿を考えていないなど、日常とは違ったことが見える。
そのためにもいまいちど取組んで見ようと思う。

 

COURRiER japon 2012/ 6

On 2012年5月10日, in 雑感, by admin

COURRiER japon 2012 6

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2012年 06月号 [雑誌]

今回の特集は『外資系企業の社内事情』。勤務する友人から聞く程度しか社内事情はわからない。またこの特集で組まれた企業に勤務する知人はいない。ただ外資勤務者は自分に厳しいように感じる。能力or企業文化かは、わからないが凛としているイメージを持っている。
 
 特集で最も興味を惹かれたのは2社。フェイスブックとマッキンゼーだ。今回はフェイスブックの紹介したい。

Face book が友人と交流のプラットフォームになっている人も多い。またマーケティングで活用している企業も多い。事業紹介によると世界で8億人以上が利用しているとのことだ。日本は国内でも25%の人が活用しているとのこと。最近では15歳~34歳までの利用者が増加しmixi以外の関心度も高まっているようだ。

フェイスブックはIPOにより50億度ドルの資金調達が予定されている。企業価値を生み出し続ける。だからこそ可能なことだ。その原資は社員にあるようだ。

『本社内のいたるところに貼ってあるポスターに書かれた“完璧をめざすよりまず終わらせろ。素早く動き、既成概念をぶち壊せ”という指示を誰もが肝に銘じている』

ありそうな言葉だが、それを肝に銘じ実行していることが凄い。その根源は『改革を重ねる』企業文化にあるようだ。一企業に企業文化はひとつ。そんなイメージを抱いていたがこの企業は違うらしい。ひとつはCEOであるマーク・ザッカーバーグの影響度が強い『実力主義』。それともうひとつ。COOシェリル・サンドバーグが支配する『部門文化』だ。

本誌は文化感の違いからこんご緊張が高まるのではと述べている。しかしどうだろうか。支店などに地域文化があるように、文化の根は“競争、実力”にありその周辺に部門文化があるのではないか。組織文化の理論的枠組当てはめるとそんな答えがでてきそうだが。

 どうやら本誌を取材記者はフェイスブックの組織に危うさを感じているように見える。その端緒は従業員インタビューからも感じられる。そのうえで『…フェイスブックはすでにイノベーションの鈍った官僚組織になりつつある兆候が見て取れる。この問題ばかりはザッカーバーグでも簡単に解決策を「ハック」できないだろう』とまとめている。

設立8年でここまで成長した企業。それなりに歪はあると思う。また常に批判者はいる。
しかしここまで成長した企業の良い側面を徹底して観察することは、多くの学びを得ることができる。走り続けること。これが成長の糧であることは間違いない。

本誌はは幅広く多くことを教示してくれる貴重な雑誌だ。

 

3色ボールペン活用術

On 2012年5月9日, in 経営者, by admin

3色ボールペン活用術

三色ボールペン情報活用術 (角川oneテーマ21 (B-43))

課題である効率アップのために読んだ一冊。目次コピー。全体を見渡しながらリーディングしペーパーに書込む。この読書法の関連図書として本書を購入。日頃使っているのは4色プラスシャープペンの多機能ペン。即実行に移すことができそうだ。

私はマーキング、書込み、付箋とお構いなしに本に書込む。本によってはマーキングだらけになり、どこが本当に重要?となってしまうことがある。4色を使っているのは企画メモや図解をするとき主に使っている。

本書で教える色分けはものすごくシンプル。まず客観と主観に分けるといった方法だ。その方法は

『赤 客観的に見て最も重要 青 客観的にみてまあ重要 緑 主観的にみておもしろいと感じたり、興味を抱いた箇所』とある。

実践してみると『青』が多くなり、主観が少ない。またさらっと見直してから赤を引くケースが多い。まだまだ活用の入り口に過ぎないが、本に深く関わり吸収力もアップするのではと感じている。

客観的考察をするには、知識が必要となる。情報は事象やデータから論じられる。本来それも主観と客観に分けなければならない。悪しき事例はワイドショーだろう。問題点は主観を客観のように語ることだ。視聴者は注意深く、企画の方向性、コメンテーターの主観を捉えながら見る必要がある。私にはこれが歪んだ世論形成の根源にあるように感じてならない。

本を読み3色分類することを “暗黙知をくぐる”と著者は表現する。私には潜在意識を通過するというイメージが腹に落ちる。これも主観だが、自己の文脈を通じて客観的知識や主観となって自らに肉付けされるという意味合いでよいだろう。
日頃から自分の考えが主観か客観を正しく判断をしていきたい。議論があやふやになるのは主観を客観であるかのように論じてしまうケースだ。マイノリティをマジョリティとして語るようなケースでもある。人間関係を壊すきっかけにも成り兼ねない。それとは逆の“できる人物”について著者は次のように述べている。

『仕事ができる人というのは社会から求められている文脈の中で自分のポジションを判断できる人が多い。そして客観的な状況という文脈と、主観的な自分のアイデアという文脈を巧みに組みあわせることができる人物である』

簡単なセンテンスだがこの一文の意味は深い。人は自分と同じ主観を持つひとと付き合う。それを客観と判断するように感じる。ライフスタイルもあまり変わらず、グルグルと同等めぐりをする。もう一歩俯瞰して考察をすればあらたな主観が生まれるだろうにと感じることが多い。自分自身にも言えることなのだが、立ち位置を常に変化させられるもう一人の自己を持ち、考察することが求められる。そのためには多様な知や文化に触れることが必要なのだと感じる。

日常を変えてくれる良書だと思う

 

知的勉強法   齋藤孝

On 2012年5月9日, in 経営者, by admin

知的勉強法   齋藤孝

地アタマを鍛える知的勉強法 (講談社現代新書)

4月から大学院聴講、NHKラジオ講座、論文指導など3つやることが増えた。他には以前から継続中している、朝Runプラス筋トレ、週5冊の読書、戦略論やマーケティングのレポートなどなど。趣味の山行は月ペースで登りたい。トレランや自転車も最高の季節となってきた。家族と過ごす時間も大切であり、友人と週に1度は会食したい。やりたいことはまだまだある。1ヶ月を過ぎたが、些か追われているように感じる。そこで俯瞰して見直すことにした。

改善ポイントは時間あたりの質をあげること。質を上げるには集中力が大切なことは言うまでもない。もうひとつは実行手段 “方法”が肝だと思う。そんな問題意識から本書を読んでみた。1年は365日で1日は24時間。300日は午前7時~午後10時稼働のリズムで動いている。時間を延ばす前に質の改善で成果を出していきたいと思う。

まずは“勉強が身につかない”この理由を示すことがスタート。やはり質の低さが要因だと思う。著者はこうした私の問いを、夏目漱石の覚悟を例にあげながら次のように示してくれた。

『..腰が定まる、据わるという覚悟ができると、そこには推進力が生まれるのです。実は勉強が嫌いだとか苦手だとか言っている人は、おおかた腰が定まっていない。つまり目標が定まっていません。【なんとしてもやる】という覚悟がないので、ぐんと前にすすむことができないのです』

“腹に落ちる”まで目標と向きあうこと。やはりここが最も重要なポイントのようだ。覚悟とならべてもうひとつ学ぶことの大切さを述べている。

『“天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずとつた云へり”とは決して人間が平等だと言っているのではありません。本来は平等であるはずが、それでも人間に差がついているのはなぜか。それは学ぶことが人の価値を決めるからだと、と諭吉は言っているのです』

本書は哲学者や本田宗一郎のような実践者をあげながら“思考”の大切さについて多くの紙幅を取っている。“人の価値とは何か”この命題は永遠の課題であり生涯をかけても答えなどでないだろう。だが “この世に生まれてきた意味を考え続け、その答えに向かって生きる”いまわかっているのは、この哲学が自らの価値を高めるのだと思う。随分と時間を無駄にしてきた。いまこの瞬間を全力で生きることで、少しでも成長したい。

著者は概念だけでなくテクニックも教示してくれる。印象的なひとつを紹介したい。

小大は“知的な頭を移す勉強法③ 二週間なりきり漬け”
 
『先人たちの頭を移すということは、単に、その対象について説明できるようになるだけでは不十分です。「語れる」以上に「実践できる」ところまで行き着いて、初めて本当に知的な領域に入れるのだと思います。そのためには、対象となる世界に染められるが如く、とにかく二週間沈潜することを進めます…とりわけお気に入りの場合は、二年ほど漬かれば、その人物になりきって話せるようになります』

沈潜を広辞苑で紐解くと「深く没頭すること」とある。毎日ニーチェを音読する、その考え方に浸かる。もうひとりの自己が形成されるようなものかも知れない。英語の勉強にも効果的だという。

我を忘れるほど徹底して行なうことが大切であることは言うまでもない。“二週間の没頭”さっそく実行してみようと思う。まずは没頭を可能にする時間作りからだ。

本書には他にも数多くの知が紹介されている。ぜひまた取り上げてみたい。

 

GOETH    2012/6

On 2012年5月7日, in life Style, 経営戦略, 経営者, by admin

GOETH    2012/6

GOETHE (ゲーテ) 2012年 06月号 [雑誌]

GOETH・熱狂人生 vol. 35ではハワード・シュルツ スターバックスCEOが紹介されている。ハワード・シュルツ氏の生き方や考え方を紹介している本は数多い。この特集ではそのエッセンスが延べられている。

 オフィスや自宅近くにスターバックスがありよく利用する。禁煙したことでより回数が増えた。一人でお酒を楽しむときは、22時前には飲まないようにしている。22時までオンタイムと決めていること、1~2時間程度の楽しみでちょうど良いのではという2つの思いからだ。そんなときに気分転換も兼ね、22時までをスターバックスですごす。『コンセプト・第3の空間』そのもののすごし方だと思っている。

 いまでは、その日足りなかった作業をこなす大切な空間となっている。そんなbaを提供してくれるスターバックスであるが、08年経営危機に陥った。シュルツのCEO復活により再起を果たすのだが、その時を次のように語っている。

『会社は間違いを犯しました。コントロールできない成長をしてしまったのです。しかし成長している時には、間違いは見えないものなのです』このコンクリュージョンを本誌はこのように解説する。

「後任の経営陣(2000,シュルツ退任)が成長の麻薬に取りつかれてしまったのだ。無理な出典計画はさまざまな歪を生んだ。人材不足、クオリティ低下。売上を獲得しようと企業ポリシーを曲げて商品開発が行われた。コーヒーの香りを台無しにするチーズの焼け焦げた匂いが店内に広がった…ブランドはじわじわ毀損される、創業以来、初めて客足が鈍りはじめた」

 環境の変化でなく、成長スピードの誤り。しかし成長欲求は経営に不可欠でもある。数値のすべてが見渡せるコックピットから何を見落としたのか。それは企業文化の毀損であり、baの空気だろう。スターバックス・ブランドのバリューは空間提供にある。空間は動態的であり、バリスタは空間指揮者でもある。 そう考えてバリスタを見ている楽しい。

ブランドを再構築することは企業再建より難しいのではないだろうか。外科的手法により腫瘍を取り除く。そのうえで再建もコンセプトの『芽』をうえ育てる。芽を育てる土壌についてシュルツ氏は次のように語る。

『…企業は利益や効率を常に求めている。しかしそれは私の経験から言えばそれを持続できる唯一の方法は、正しいことをすることです。そうすれば素晴らしい人材が来てくれる。価値観をしっかりもった顧客が指示してくれる。勇気を持って正しいことをやろう。….それが、誰にもプラスを生むのです』

『正しさ』とは何か。哲学的なことのようにも感じる。生涯をかけて追求しても良いテーマだと思う。