国家の品格 藤原 正彦

On 2011年7月1日, in 政治・経済, 書評, by admin

国家の品格 (新潮新書)

帯に265万部突破とあるから凄い。ベストセラーとはとwikiで調べると既に本書が取上げられていた。本書は「いま日本に必要なのは、論理よりも情緒、英語より国語、民主主義よりも武士道精神であり、「国家の品格」を取り戻すことである」と提言している。

先般、楽天三木谷会長が価値観の相違から経団連を脱退した。古賀茂昭氏は自らの組織を批判したことからか退職勧奨を受けている。政治が混沌としていることは言うまでもない。経団連、行政、政治ともに自らを守ること、組織の存続が目標となり民も将来もなにも見ていないように感じてならない。この問題の要素は本書が述べる品格の欠如にあるのではないかと思う。

品格を広辞苑で紐解くと【ものの良し悪しの程度】、大辞林は【そのものから感じられるおごそかしさ】とある。威風堂々たる態度とでも解釈すれば良いのか。国が凛とした姿から遠のいたのは経世会が蔓った頃からなのかも知れない。また麻生総理を起点にしてまったくそういうものが感じられなくなったように思う。民主党に至っては“尖閣問題”以降最悪の状態である。しかしどちらも民主主義の手続きを得て国民が選んだことに間違いない。正しい選択をされたと思っている人は良い。しかしそうでない人は何故選んでしまったのかが問題である。東北ではいまだ被災者が苦しい生活を強いられている。この後に及んで“選挙が戦えない”という言葉を発している人を我々は選んでしまっている。騙されたのか正常な判断選択ができないのかということになる。制度事態が適切でない可能性も否めない。著者はこうした問題について次のように述べている。

「民主主義の根幹はもちろん国民主権です。主権在民です。ロックが祖としても、最初に民主主義を実践したのはアメリカです。建国時からそうです。大革命後のアメリカを訪れたフランスのトクヴィルは「アメリカの民主主義」の中で主権在民に感心していますけれどもほんとうに素晴らしいことなんでしょうか。主権在民には大前提があります。それは「国民が成熟した判断をすることができる」ということです。この場合には、民主主義は文句なしに再考の政治形態です」

現在の日本で民主主義が可能だろうか。甚だ疑問に思う。問題の根源をマスコミにおいている。“民主主義の本質は主権在民ですが、主権在民とは世論がすべてということです。そして国民の判断材料はほぼマスコミがすべてですから、事実上、世論とはマスコミです。言い方を変えると、日本やアメリカにおいてはマスコミが第一権力になっているということです”と述べている。
政治や官僚がマスコミを操作しているとも言える。またスポンサーの動向にも大きく左右される。しかし実際に冷静に見れば踊らされることなどあまりないのではない。ただ現実はこうした問題にそれほど時間を取ることは難しい。突き詰めれば国民全体が論理思考を完成させることは無理だと著者は論じている。

こうしたときに選択肢となるのはグランドデザインと人間性ではないか。小手先で選ばれようとする卑怯な候補者の人間性を見抜く力がいま求められているのではないかと思う。

 

NEWS 2011中小企業白書発表

On 2011年7月1日, in 雑感, by admin

中小企業白書が発表された。webでざっと見たところ
震災の影響からかあまり良い数値は見られらない。
低迷の原因は”震災の影響”だからと思考停止しては
なにも始まらない。まずは現状の数値を概観し対策を
こうじるほかないのではと思う。

中小企業白書